弁護士今井隆一の相続・遺留分等の取扱事例

弁護士今井隆一が取り扱った相続、遺留分、遺言の事例を紹介します。
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このページは弁護士今井限りのものです。他の所属弁護士は意見が異なる場合があります。

相続

遺産分割で両親と妻を介護し最期を看取った実家を確保した事例
  1.  事例
    依頼者は、長年勤めた職場を退職した後、両親と妻の介護のため夫婦で父名義の実家に戻り、10年以上もの間、寝たきりになった三人を一人で介護して、最期を看取りました。
    依頼者は、以上の経緯や三人兄弟の長男でもあることから、実家の土地建物を相続して、祭祀も引き継ぎ、実家を終の住処として、両親と妻を想いながら暮らすことを強く希望し、次男や他の親戚もそれに賛成していました。
    ところが、若いうちに実家を出て音信不通になり、実家にも両親にも寄り付きもしなかった三男が、実家の土地建物の取得を主張して、遺産分割調停を申し立てました。

    依頼者から受任した弁護士今井は、調停及び審判で、依頼者と実家との繋がりの深さ、依頼者が祭祀を承継することには異論がないこと、三男には既に所有している土地建物があること等を丁寧に説明するとともに、三男の主張の不合理性を指摘して、依頼者が実家を相続して、他の兄弟に代償金を支払うとするのが相当と主張しました。

    調停が不成立となって遺産分割審判に移行し、三男も弁護士を代理人を就けて更に主張立証を行った結果、審判では、依頼者が、納得できる金額の代償金の支払を条件として、実家の土地建物を取得することが認められました。

  2.  弁護士今井のコメント
    実家で両親と妻の三人を介護し、最期を看取ったことからも窺えるように、依頼者の優しいお人柄が手に取るように分かる事案で、そのお人柄からすると、裁判所で兄弟間の争いを続けることには心苦しいものがあったと思われますが、調停不成立で審判に移行する際、三男のワガママを許さないため、最後まで貫く覚悟を決めていただいたことが、納得できる結論を導くことに繋がったと思います。

遺留分

親に優遇され続けてきた唯一の男性相続人に対し女性相続人が遺留分減殺請求権(旧法)を行使した事例
  1.  事例
    依頼者は、男尊女卑の古い考えの父のもとで、子供の頃から「女だから」、「女は家にいなくなるから」等の理由で、きょうだいの中で唯一の男性相続人と明らかに差のある扱いを受け、結婚して実家を離れた後も解放されず、実家からなんだかんだと呼びつけられて面倒を見てきました。男性相続人は、子供の頃から甘やかされて、親の面倒もほとんど見なかったのに対して、依頼者は、子が親の面倒を見るのは当然と考えて、結婚後も積極的に実家に行っていました。

    しかし、父が残した遺言書には、総額1億円を優に超える遺産のうち、女性相続人は預貯金から一人150万円、その他は全て男性相続人へ、と記載されていました。依頼者は、元々期待していなかったとはいえ、あまりにも差が大きすぎる、父が死んだ後も我慢を続ける必要はないと思い、このような場合に遺留分減殺請求というものがあると知って、弁護士今井に相談しました。

    依頼を受けた弁護士今井は、男性相続人に遺留分減殺請求書を送付し、裁判外で話合いをしようとしましたが、男性相続人が弁護士を無視して依頼者に直接連絡するので、遺留分減殺請求の調停を申し立てました。調停で、男性相続人は、「本人と話し合えば解決する」等述べて、相変わらず弁護士を無視しようとしましたが、期日を繰り返しているうちに、調停に応じる意向を示しました。ところが、弁護士今井が具体的な調停案を示すと、「応じるとは言っていない」と言い出して態度を翻したため、調停は不調となりました。

    そこで、遺留分減殺請求訴訟を提起すると、男性相続人は、当初は反論していましたが、遅延損害金が増えていくことに嫌気がさしたらしく、任意に何度かに分けて計約300万円を支払ってきました。しかし、全額の支払ではなかったため、判決で、依頼者が父の遺産の不動産の共有持分を取得すること、男性相続人が依頼者に約450万円を支払うことが認められ、一審で確定しました。

    続いて、遺留分減殺請求で取得した共有持分を分割するため、また、金融機関から取り寄せた取引履歴で、男性相続人に通帳等の管理を任せた後、父名義の預金口座から多額の引出しがあることが判明していたため、共有物分割請求と不当利得返還請求の訴訟も提起しました。その判決で、男性相続人が、依頼者の共有持分を取得する代わりに依頼者に代償金約300万円を支払うこと、依頼者に不当利得返還として約300万円を支払うことが認められました。

    以上の結果、依頼者は、遺言書の150万円のほかに、遅延損害金を含め約1500万円相当の遺産を取得することができました。

  2.  弁護士今井のコメント
    調停を申し立てても弁護士今井を無視して直接依頼者に連絡したところからも窺えるように、男性相続人は理屈で圧力を掛けてくるタイプで、依頼者は、それまではその圧力に負けてしまうことが多かったそうですが、間に弁護士今井が入ったことで、男性相続人の圧力を直接受けることがなくなり、冷静な判断ができたと喜んでいました。
    なお、本件は古い民法の規定による遺留分減殺請求だったので、不動産の共有状態を解消するために二度目の訴訟が必要になりましたが、現在は、法律が改正されたので、共有物分割請求訴訟は不要になっています。

遺言